中には私の英雄譚を聞いて、嘘だと疑うものもいる。信じるも信じないも勝手にすればいい。だが、事実を馬鹿にされるのはいささか気分が悪い。ともあれ、ジョンソンに私の友人がたくさんいると聞くと、意外と共通の知人でつながっていたりするため信じてもらいやすい。

私はよく度胸があると言われるが(自分ではそういう自覚はないが)、それが私にあるとするならばきっとスラムにいたことが理由だろう。毎日が戦争のようだった。一瞬たりとも気が抜けなかった。それが私の日常だったのだから、仕方ない。

私のペットはとても優秀だ。昨日も空き巣被害に合いそうなところを私に知らせてくれた。ただ追い払うだけだとなんなので、捕まえて説教をしてやった。ついでに味噌汁を振る舞うと、彼は涙を流して謝罪をした。

私の過去について人は知りたがる。若い女性であればあるほどだ。男はそういったところに無関心だから楽なんだけれども。ともあれ、昔私がケネディに勤めていたという事実はみんなにとって格好の話題のネタになってしまうため、自分から口にすることはない。

空を眺めているといつも昔のことを思い出す。妻と見た空もこんな色をしていたように思う。ともあれ、ゴダードの土産話で妻を口説き落としたのはここだけの秘密だ。機密情報が含まれるため、多くに知られるべきではない。

わざわざ口にするほどではないが、私は帰国子女だ。世界一周を始めた時も出発地点はロンドンだった。マクドナルドでアルバイトをしたことを今でも鮮明に覚えているが、向こうのサイズは本当に規格外だ。